数カ月前から仕事を始めた。もう外で働くことはないかと思っていた。家でできる仕事を模索することも可能だった。だけど、それではカラダが鈍っていく。
リングフィットやYoutubeなどでヨガなどをしたりもした。でも、何かが違う。楽しいし続けることも可能。だけど……なぜか満たされない。
数日に一度の外出は気晴らしになる。午後は比較的余裕があるため、何気ない光景を見ながら過ごしていた。贅沢な日々の繰り返し……悪くはなかった。
働く人たちの光景。作り笑顔、電器屋などの駐車場に車を停めてサボるサラリーマン、世の中に疲れた人たちの姿。大変だなと思いながらも、なぜかそれすら少しうらやましく思ってしまう。
そう。それは毎日を一生懸命生きている姿。どんな生き方であっても、がむしゃらに生きる姿は……やはり美しい。
私は、子育てと家事を全力でこなしてきた。結婚してから、恥じることのない人生を生きてきたと自負している。だけど、息子が巣立ち、全てをやりつくしてしまった感。完全燃焼である。
後悔のない人生を生きた。あとは死? …いや、そんなワケにはいかない。
断捨離は私にとって、人生のリセットだった。
ため込まれた多くのモノと向き合った。
時間のかかる作業。紙類はほとんど電子化した。
大切なものはいつでも見られるようにしてある。「これを処分するのは厳しい」と思ったものも、数をこなせば、いつの間にか手放すことができた。
気づけば、最低限の書類しか残っていない。と同時に、収納場所に空間が生まれた。
探したものがすぐに取り出せる場所にある素晴らしさ。本当に必要なものを理解できるようになった。
紙類以外のものとも少しずつ向き合っていった。これまで私の人生を彩ってきたモノたち。有難うの気持ちを込めて処分をした。
気づけば…部屋はお気に入りのものだけとなった。
捨てるものがない空間。
必要なものだけに囲まれて過ごす空間はこんなにも快適なのか。
断捨離は人生のリセットだ。
私にとって、今を生きるために必要なこと……だったのかもしれない。
過去の自分を認め、未来を見つめ、進んでいくための時間。
新しい何かを得るためにはこの行動は必要不可欠。
リセットできたら、これからの自分を真剣に考える余裕が生まれた。
これからどうしたいのか。
何をしたいのか。
私の場合、とにかく気になることは全部やってみたい性分だ。
これまでの自分なら、始める前に断念することも多かった。
勝手に無理だと決めつけて…
でも、リセットされた今は何かが違った。
まぁいいや、やってみよう。
そんな気持ちにさせられたから不思議だ。
ダメならやめればいい。
違うことをすればいい。
ムリをしないで、自分のペースでやろう。
とにかく自分のやるべきことを、目の前のことをすればいい。
あとはなんとでもなる。
片付けをしただけだった。
全てをリセットしたからこそ生まれたこの感覚。
今の私は無敵かもしれない。
週に数回のアルバイトだけど、得るものは多い。
そして、私はさらなる未来を見つめている。
人生のリスタートを切った。